思考、感情のコントロール
1940年代に前頭葉ロボトミーという絶望的な、間違った外科的治療が行われていた。 前頭葉の一部を、かなり乱暴に切除したり、前頭葉皮質と、脳の下部構造の連絡を切断したりする処置が行われていた。 当時、ロボトミーは、重度の精神障害を治療する方法として広く認められていた。 しかし実は、情動を伝える主要回路を破壊しているだけで、患者は同時に感情も失ってしまった。
緊急ブザーを鳴らすのが扁桃核ならば、ブザーをオフにするスイッチの一端を担うのが前頭前野である。 我々が人生を左右するような決断を下す際にもきわめて重大な働きをしている。
記憶の保持、聴覚情報の処理
空間認識、感覚情報のコントロール
視覚情報の処理
目や耳から入ってきた信号は、まず視床に届き、たったひとつのシナプスで扁桃核に達する。 そして、視床は同じ信号をつかさどる大脳新皮質に送る。 視床から扁桃核へ直接つながるニューロンの大きな束が存在する。
扁桃核には日常自分でも気付かないうちに示すような情動反応のレパートリーが記憶されている。 気付かないのは、視床から扁桃核につながる近道が、大脳新皮質を完全に迂回しているからである。 自分でも気付かないうちに対象に好悪の感情を抱くのは、扁桃核に蓄えられた情動の記憶のせいである。
扁桃核の興奮が大きければ大きいほど、記憶は脳に強く刻み込まれる。
扁桃核が送り出すメッセージは、時として時代遅れな場合がある。 情動の記憶を貯蔵している扁桃核は、目の前の事実を過去に起こった事例とひとつずつ照合してゆき、何か大きな特徴がひとつ一致すると、「これだ!」と結論をだしてしまう。 完全に確認するまえに反応してしまう。
極度の怒りや恐怖に襲われたとき、扁桃核は大脳新皮質が状況を理解するよりも早く反応する。
扁桃核は海馬に比べて誕生の時点ですでにかなり発達しており、生後まもなく完成する。 人生の始まりの数年間における人間関係、とくに養育者との関係が、 その人の情動学習をだいたい決定してしまうというのが精神分析の基本的な考え方である。 扁桃核が学習したときは、その人の情動に非常に強い影響を残す。 にもかかわらず、成長した後で、その内容をさかのぼって理解することは難しい。 幼少期の情動の記憶は、本人が経験を表現する言葉を持たない時期に形成されるため、 成長した後でその記憶がよみがえったとき、自分自身がとった反応を整理して考えることができないのだ。
長期にわたって保存するよう選択された記憶は大脳辺縁系にある海馬に送られる。 ここで2、3年保管されている間に海馬は大脳新皮質と協力しながら何度も経験を再現する。
海馬にインプットされている情報は、状況あるいは、文脈に関する詳しい記憶である。 たとえば、動物園で見るクマと、自宅の裏庭で見るクマの意味の違いがわかるのは、海馬の働きだ。
海馬が事実を記憶するのに対して、扁桃核は事実に付随する情動を記憶する。 たとえば、片側一車線の道路で追い越しをかけて、危うく対向車と衝突しそうになったとする。 海馬は、その時、どの道路を走っていたか、誰が車に乗っていたか、相手の車はどんな種類だったか、といった様々な事実を記憶する。 しかし、その後同じような状況で追い越しをかけようとするたびに不安になるのは、扁桃核の働きだ。
意欲、やる気の中枢
2010-07-08
はじめまして。
脳の構造図の絵を見せていただきました。
この図を無償で借用させていただくことは可能でしょうか?
使用先は東大和市の民生委員・児童委員の年次報告の報告文章の中に
説明図として使用させていただくことを考えております。
『 西山 清』 さんからのコメント— 2011 年 4 月 20 日 @ 9:40 AM
お役に立ててうれしいです、どうぞお使いください。
『 wai』 さんからのコメント— 2011 年 4 月 20 日 @ 9:43 AM
はじめまして。
脳の構造図の絵を見せていただきました。
私も1の方と同様、この図を無償で借用させていただくことは可能でしょうか?
中学校の授業で脳についての説明文を生徒が理解するときに使用したいと考えております。
『 丹羽詞子』 さんからのコメント— 2011 年 4 月 25 日 @ 6:38 PM
お役に立てれば何よりです。 どうぞお使いください。
『 wai』 さんからのコメント— 2011 年 4 月 26 日 @ 9:19 AM
はじめまして。
脳の構造図の絵を見せていただきました。
私も1、2の方と同様、この図を無償で借用させていただくことは可能でしょうか?
講演中、第一印象の大切さについて説明するときに使用したいと考えております。
『 Keiko』 さんからのコメント— 2020 年 1 月 26 日 @ 5:36 PM
お役に立てれば何よりです。 どうぞお使いください。
『 wai』 さんからのコメント— 2020 年 1 月 29 日 @ 1:44 PM